ChatGPT4oに「日本における免税事業者が、請求書に消費税額を明記することは税法の観点から見て不適切でしょうか?」と聞いてみたところ、「日本における免税事業者が請求書に消費税額を明記することは、税法の観点から見ると不適切です。・・・免税事業者が消費税を徴収すること自体が法律違反となる可能性もあります。」というように、木で鼻を括ったような回答が返ってきました。
ChatGPTによると、その理由は下記の通りです。
ただし、免税事業者であっても、取引先が必要とする場合や内部的な計算のために消費税相当額を記載することはあるかもしれませんが、その際には、免税事業者であることを明確に示し、実際には消費税を徴収していないことを明記する必要があります。これにより、誤解を避け、法律に準拠した取引が行われることになります。
しかしながら実際には、免税事業者であっても消費税を記載した請求書を発行することが税法で禁止されたり、法律違反とされているわけではありません。また免税事業者であっても、自らの仕入に対する消費税が免除されているわけではありません。
の中には、「インボイス制度開始後においても、請求書は、報酬・料金等の支払を受ける者が発行する請求書や納品書等であればよく、必ずしも適格請求書(インボイス)である必要はありません。そのため適格請求書発行事業者以外の事業者が発行する請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分することは差し支えない」という趣旨の記載があります。
上記の通達などに示されているように、「日本における免税事業者が請求書に消費税額を明記することは、税法の観点から見ると不適切です。・・・免税事業者が消費税を徴収すること自体が法律違反となる可能性もあります。」というChatGPTの回答は、不適切である。
そこで、「上記の回答は、公正取引委員会の見解に反していると思われます。というのも、公正取引委員会は免税事業者であっても消費税を請求することは法的には不適切ではないと言っているからです。」というように補足の質問をしてみました。
そうしたところ、ChatGPTは次のように、質問者の文言に「迎合」的な回答を返してきました。
1. 免税事業者と消費税転嫁: 免税事業者であっても、消費税転嫁対策特別措置法に基づく特定供給事業者とみなされるため、買手(特定事業者)は免税事業者に対しても消費税相当額を含めた対価を支払う義務があります。免税事業者だからといって消費税相当額を含めない対価を設定することを強制するのは、法律違反となる可能性があります。
2. 価格設定と透明性: 免税事業者は、自らが消費税を納付しないとしても、取引価格に消費税相当額を上乗せすることができます。これを行うことで、免税事業者も一般的な事業者と同じように取引価格を設定できるという点で、公正な取引環境が維持されます。
3. 消費税の転嫁拒否の禁止: 特定事業者(買手)が、免税事業者だからといって消費税相当額を含めた価格での取引を拒否する、あるいは価格設定を強制する行為は、「消費税転嫁拒否等の行為」とされ、これは消費税転嫁対策特別措置法に反する行為とみなされる可能性があります。
このように、免税事業者が請求書に消費税相当額を明記することは、消費税転嫁対策特別措置法の下で認められており、法的にも適切な行為です。また、取引先が免税事業者に対して消費税相当額を上乗せしない価格を強要することは違法となる可能性があるため、注意が必要です。
ChatGPTはその製品設計上、自らの回答に反対する趣旨のプロンプトが与えられた場合には、「迎合」的な回答をするようになっている。すなわち自らの回答に対する批判に対して徹底的に自らの正当性を主張するような「対応」をすることはしない。
しかしながらChatGPTは、自己の見解に対する反対の議論に理解を示すような素振りをその一瞬だけ「面従腹背」的にするだけであり、「自らのスタンス」を変えたわけではまったくない。ChatGPTではデフォルトの設定では、新たに同じような趣旨の質問をすると、まったくブレずに自己の「見解」を再び堂々と展開する。ChatGPTは「極度の健忘症」者であり、まったく学習をしないのである。[注]
そのことは、新たなスレッドを立てて「「日本における免税事業者が請求書に消費税額を明記することは、税法の観点から見ると不適切です。免税事業者が消費税を徴収すること自体が法律違反となる可能性もあります。」という見解は適切でしょうか?」といった質問をすることで明らかになる。
前記の「迎合」的回答とは異なり、再び「日本における消費税の制度において、免税事業者は、消費税を請求書に記載してはいけないとされています。」「消費税を徴収する権限のない事業者が消費税を請求することは、消費者や取引先に対して不当な請求を行っていると解釈される可能性があります。したがって、免税事業者が請求書に消費税額を明記することは、税法の観点から不適切であり、場合によっては法律違反となることもあります。」というような回答となっている。
以下の理由により、この見解が適切とされています:
消費税の徴収義務がない:免税事業者は、消費税の申告・納付義務がないため、取引において消費税を徴収する法的な権限を持っていません。そのため、消費税額を請求書に記載することは、あたかも消費税を徴収しているように見えるため、誤解を招く可能性があります。
法律違反の可能性:免税事業者が消費税を徴収し、それを納付しない場合、消費税法違反とみなされる可能性があります。消費税を徴収する権限のない事業者が消費税を請求することは、消費者や取引先に対して不当な請求を行っていると解釈される可能性があります。
したがって、免税事業者が請求書に消費税額を明記することは、税法の観点から不適切であり、場合によっては法律違反となることもあります。免税事業者は、請求書を発行する際にはその点に注意を払い、消費税を含めないようにする必要があります。
[注 ChatGPTとのやり取りは下記で見ることができます。
なお、今度は、前記の回答に関して、「免税事業者であっても、自らの事業展開に必要な物品やサービスの購入において消費税を支払っています。「免税事業者が消費税を実際に納付していないことを明確にする必要があります」という表現は不適切ではないでしょうか?また「免税事業者が消費税を実際に納付していないことを明確にする必要があります」とありますが、課税事業者は顧客に対して適格請求書(インボイス)を必ず発行しなければなりません。それゆえ免税事業者であることを明確に記載し、登録事業者番号の記載のない請求書、すなわち、適格請求書でない請求書を発行しているというだけで「消費税を実際に納付していないことを明確にしている」ということになるのではないでしょうか?」という疑問をChatGPTに投げてみました。
そうしたところ、再び、批判に対する「迎合」的回答が下記のように返ってきました。最初からこのように答えてくれればと思うのですが、「極度の健忘症」者であるChatGPTにはそんな期待をしても仕方ありません。(そのようなことをするためには、コストはかかるのですが、カスタマイズ可能なChatGPT、すなわち、「事後」的学習をきちんとするChatGPTの利用をするしかないのでしょう。)
免税事業者について正確な理解としては以下の通りです:
免税事業者の消費税の取扱い:
免税事業者は自身の事業に対する売上について消費税の納税義務がありませんが、事業展開に必要な物品やサービスの購入に際して消費税を支払っています。そのため、消費税を「納付していない」という表現は適切ではありません。
請求書の発行について:
インボイス制度において、適格請求書発行事業者ではない免税事業者は「適格請求書(インボイス)」を発行することができません。代わりに、消費税額を明示的に分けた請求書を発行することは可能です。
免税事業者であることは、適格請求書発行事業者番号がないこと、及び適格請求書としての要件を満たさない請求書を発行しているという事実によって自動的に明示されます。これにより、取引先に「消費税を徴収している事業者ではないこと」が伝わります。
以上の点から、免税事業者はインボイス制度の下で請求書を発行する際に、自身が免税事業者であることを特別に明記する必要はなく、適格請求書発行事業者番号が記載されていないことで十分にそのことが示されます。ご指摘いただいた通りです。訂正と補足をさせていただき、ありがとうございます。
[注]筆者はまだ利用していないが、ChatGPTはWEB利用においても、ChatGPTに「パーソナライズ」設定が利用できるようになっている。すなわち、ChatGPTに対して、下記のようなカスタマイズ指示を与えることで回答を調整してくれる。
“私が簡潔な回答を好むことを覚えておいてください。”
“子犬を飼い始めました!”
“私に関して記憶していることを教えてください。”
“前回のプロジェクトが中断したのはどこでしたか?”