鉄腕アトム型AIとしてのPerplexity AI(その1)- 面白味には欠けるが、真面目な回答

Perplexity AIは、truthfulであることを重視した生成AIとして、それが生成するテキストは事実に基づいた堅実なものである。「厳密性・真実性」を相対的に重視するAIとしていわば「鉄腕アトム」型AIと位置付けることができる。

Perplexity AIは、ChatGPT3.5のように「遊び心」にあふれた「アラレちゃん」型AIのように面白い会話文を生成することをしないが、下記のように堅実な回答をする。

ただしその回答の生成に用いたソースファイルの表示に関しては、その方向性が必ずしも徹底されてはない。例えば下記に挙げた回答例の引用においては https://eiga.com/coming/などのように現在ではまったく関係のないWEBページを挙げたり、「Dr.スランプ アラレちゃん」の空豆タロウ役の声優の古川登志夫に関するウィキペディアのページを挙げたり、プロンプト文との内容的連関はかなり低いものも多い。
 参照先としては同じWikipediaであっても下記のような項目を参照先として利用するべきであるが、そうはなってはいない。

「ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論したらどんな討論になるでしょうか?」といったプロンプト文に対するPerplexity AIの下記「回答」例は次のようなものである。

回答例1
(Perplexity AIは、ChatGPTとは異なり、自動読み上げ機能が標準的には装備されてはいない。そのため、下記ではVoicepeakを使ったAI音声をアップした。)
株式会社AHSの日本語読み上げソフトVoicepeakを使って作成したAI読み上げ音声-「女性1」版

株式会社AHSの日本語読み上げソフトVoicepeakを使って作成したAI読み上げ音声-「男性3」版

 

ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論する場合、それぞれのキャラクターの性質や背景を考慮に入れたユニークな討論が展開されるでしょう。

ピーターパンの視点
ピーターパンは、永遠の少年であり、冒険を愛するキャラクターです。彼は変化や新しいものに対してオープンでありながらも、大人や成長、責任を拒否する傾向があります。AIについての討論では、彼はおそらくAIの可能性を探求することに興味を持ちつつも、それが子供たちやネバーランドの自由な精神にどのように影響を与えるかについて懸念を表明するかもしれません。彼はAIが冒険や想像力を制限する可能性について疑問を投げかけるでしょう。

アラレちゃんの視点
一方、アラレちゃんは『Dr.スランプ』の中で非常に好奇心旺盛で天真爛漫なロボットの少女です。彼女は科学と技術に対して非常にポジティブで、新しい発明やガジェットに夢中になることが多いです。AIに関しては、その技術的な側面や、どのようにして日常生活を面白く、便利にできるかに焦点を当てる可能性が高いです。アラレちゃんはAIの楽しい利用方法や、それによってできる新しいいたずらを想像するかもしれません。

討論の展開
この二人がAIについて討論する場合、ピーターパンはAIが子供たちの自由や創造的な遊びに与える影響に焦点を当て、AIが子供たちを守るためにどのように利用できるかについて疑問を投げかけるでしょう。アラレちゃんはAIの技術的な面白さや、それを使ってどのように楽しいことができるかを強調するでしょう。

このような討論は、二人のキャラクターが持つ独自の視点から、AIの多面性やその社会への影響を探る興味深いものになる可能性があります。

Citations:

[1] 日本語版ウィキペディア「古川登志夫」https://ja.wikipedia.org/wiki/古川登志夫
[2] 松本淳和(2024)「AIが発展した社会はどうなる?今後の見通しや生き抜くための対策も」Spaceship Earth、2024年4月30日https://spaceshipearth.jp/ai/
[3] TechSUite「自然言語処理技術の革新と今後の課題」TechSUite Blog、2023年11月2日
2024年3月18日、https://techsuite.biz/自然言語処理技術の革新と今後の課題/

[4] Reinforz Insight編集部(2023)「AIの進化:技術の種類から将来の展望、倫理的課題まで総まとめ」2023年8月31日、https://reinforz.co.jp/bizmedia/10550/
[5] 日立ソリューションズ・クリエイト(2020)「AI活用における倫理問題とは? 企業は何に留意すべきか」2020年9月24日、https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/technology/ai-ethical-issues.html
[6] 柏崎市立図書館(2021)「柏崎市立図書館 教材目録(ビデオ)」2021/2/10、https://www.city.kashiwazaki.lg.jp/material/files/group/49/2021-3video.pdf
[7] https://eiga.com/coming/
[8] https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n4200000.pdf
[9] https://www.ai-souken.com/article/ai-research-themes
[10] https://creative-drive.jp/media/1742
[11] https://www.pref.ishikawa.lg.jp/shakyo-c/documents/16mm_list_ippan.xls
[12] https://ainavi.jp/portal/ai%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/future-artificial-intelligence/
[13] https://core.ac.uk/download/590708482.pdf
[14] https://www.fashion-press.net/news/52794
[15] https://www.fashion-press.net/news/26909/2
[16] https://www.youtube.com/watch?v=rX1e8vN0ehE
[17] https://mandarake.co.jp/dir/nkn/konpeito/2021/09/17/1918.html
[18] https://www.capcut.com/ja-jp/discover/keyword/68811254275
[19] https://portugalvilela.com.br/product/mavouchableu300319?id=624
[20] https://badralsamaahospitals.com/video-consultation/hospitals?target=https%3A%2F%2Fnazakusku.ru%2F18ZVSOafe43v

[引用者注:Perplexity AIの回答をクリップボード経由でコピペした場合には、URLのみの表示となっている。そのため、本ページでの引用に際しては一部のURL表示に対して、著者名・タイトル等を付け加えた。]
 
回答例2
(Perplexity AIは、ChatGPTとは異なり、自動読み上げ機能が標準的には装備されてはいない。そのため、下記ではVoicepeakを使ったAI音声をアップした。)
株式会社AHSの日本語読み上げソフトVoicepeakを使って作成したAI読み上げ音声-「女性1」版

株式会社AHSの日本語読み上げソフトVoicepeakを使って作成したAI読み上げ音声-「男性3」版

 

ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論する場合、それぞれのキャラクターの性格や背景を考慮すると、非常にユニークで想像力豊かな討論になるでしょう。

 

ピーターパンは、大人になりたがらない永遠の少年であり、冒険と自由を愛するキャラクターです。一方、アラレちゃんは、『Dr.スランプ』の世界に住むロボットの少女で、非常に好奇心旺盛でありながらも、時には予測不可能な行動を取ることがあります。

 
ピーターパンの立場からの討論ポイント
AIと冒険の関係ピーターパンは、AIが冒険心を刺激する新しい世界を開く可能性について興味を持つかもしれません。例えば、AIを使って未知の世界を探索するVRゲームや、冒険のためのAIアシスタントについて熱く語るでしょう。
 
自由とAIの制御一方で、ピーターパンはAIによる制御や監視が自由を奪うことに対して懸念を示すかもしれません。自由を愛する彼にとって、AIが人間の行動を制限する側面には反対の立場を取るでしょう。
 
アラレちゃんの立場からの討論ポイント
AIと人間の関係 アラレちゃんは、自身もロボットであるため、AIと人間との共生についてポジティブな見解を持つ可能性が高いです。人間とロボットが友達になれることや、AIが日常生活を豊かにする方法について楽しく話すでしょう。
 
AIの倫理 しかし、アラレちゃんは、自身の創造者である則巻千兵衛の影響を受けて、AIの倫理についても考えるかもしれません。AIが人間に害を及ぼさないようにする方法や、AIにも「心」があるかどうかについて興味深い質問を投げかける可能性があります。
 

討論の展開

この二人の討論は、AIの可能性とリスクの両面を探るものになりそうです。ピーターパンの冒険心とアラレちゃんの科学的好奇心が交差する中で、AIに対する子供らしい純粋な疑問や、未来への夢が語られるでしょう。また、二人のユニークな視点から、AIに関する新たな洞察が得られるかもしれません。
 

Citations:

[1]https://www.weblio.jp/content/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%B3%2B%28%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%29
[2]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%B3_%28%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%29
[3] https://castel.jp/p/1672
[4] https://reashu.com/groupdiscussion_theme/
[5] https://castel.jp/p/6612
[6] https://ja.wikipedia.org/wiki/Dr.%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
[7] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%87%E5%B7%BB%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%AC
[8] https://aismiley.co.jp/ai_news/what-are-the-latest-ai-products/
[9] https://mangafull.jp/dr-slump-character-matome
[10] https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/technology/ai-ethical-issues.html
[11] https://aismiley.co.jp/ai_news/what-is-the-ethical-issue-of-ai-that-has-become-more-important-due-to-the-evolution-of-technology/
[12] https://www.dlri.co.jp/report/ld/247605.html
[13] https://www.skillupai.com/blog/tech/dl-papers-2022-1/
[14] https://dhbr.diamond.jp/articles/-/9812
[15] https://ciatr.jp/topics/312851
[16] https://biz-solution-dx.com/blog/ai-trends-latest
[17] https://and-engineer.com/articles/ZDT3cxEAAH-qQdfR
[18] https://www.ibm.com/jp-ja/topics/ai-ethics
[19] https://www.swissinfo.ch/jpn/%E7%A7%91%E5%AD%A6/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E7%9F%A5%E8%83%BD-%E5%80%AB%E7%90%86-%E5%95%8F%E9%A1%8C-%E5%9B%BD%E9%9A%9B-%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9-ai-%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC-%E6%8A%80%E8%A1%93-%E9%9D%A9%E6%96%B0-%E8%AA%B2%E9%A1%8C/46338572
[20] https://business.ntt-east.co.jp/content/onsight_dx/column/ai_2023cases/
[引用者注:Perplexity AIの回答をクリップボード経由でコピペした場合には、URLのみの表示となっている。そのため、本ページでの引用に際しては一部のURL表示に対して、著者名・タイトル等を付け加えた。]

アラレちゃん型生成AIとしてのChatGPT3.5 – 空想力に富んだ面白い回答、かつ、回答内容に即した読み上げ音声の自動生成

ChatGPT3.5は、persuasiveであることを重視した生成AIとして、それが生成するテキストは空想力=想像力豊かである。「遊び」心を備えたAIとしていわば「アラレちゃん」型AIと位置付けることができる。

そのことは、「ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論したらどんな討論になるでしょうか?」といったプロンプト文に対するChatGPT3.5の下記「回答」例、および、その「回答」の自動読み上げ機能などに見ることができる。(ChatGPTは、昔ながらのAI合成音声のような読み上げ方だけでなく、回答内容に即した流暢な読み上げもできるようになっている。)

回答例1

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声

面白い組み合わせですね!ピーターパンは常に冒険心旺盛で、成長を拒否する少年であり、アラレちゃんは無邪気で好奇心旺盛なロボット少女ですね。彼らがAIについて討論すると、おそらく次のような対話になるでしょう:

ピーターパン よし、アラレちゃん、AIって何だと思う?

アラレちゃん AIは人工知能のことだよ!わたしもちょっと知ってる!人間のように考えたり、学んだりできるの!

ピーターパン ああ、なるほど!でも、人間のように考えるってどういうことだ?

アラレちゃん それはね、データやパターンを使って問題を解決したり、新しいことを学んだりすることだよ!でも、感情とか、夢とかはないんだよ。

ピーターパン ふーん、感情がないと楽しくないんじゃないかな?冒険も感情がないとつまらないよ。

アラレちゃん 感情はなくても楽しい冒険があるよ!わたしも冒険大好きだもん!

ピーターパン そうかもしれないね。でも、AIが人間の仕事を奪うとか、危険なことはないのかな?

アラレちゃん それはね、人間がAIを作るときに考えるべき大事な問題だよ!でも、AIは人間の手助けをすることもできるし、新しい仕事を生み出すこともあるんだ!

ピーターパン なるほど、そういうこともあるんだね。冒険心を持って、未知の領域に踏み込むっていうのも、AIの世界でも大切なんだろうな。

アラレちゃん そうだよ!冒険は止まらないよ!

こんな感じで、ピーターパンとアラレちゃんはそれぞれの視点からAIについて考え、冒険心を持って新しい未来を探求することの重要性を共有するかもしれませんね!

 
回答例2

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声(女性版)

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声(男性版)

面白い組み合わせですね!ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論すると、おそらく以下のような対話になるかもしれません。

ピーターパン: “ねえ、アラレちゃん、君はAIって何だと思う?”

アラレちゃん: “AIはすごいものだよ!それはコンピューターが考えることができるんだ。”

ピーターパン: “でも、それって人間のように考えることができるの?”

アラレちゃん: “うん、人間のように考えることはできるかも!でも、ちょっと違うかもしれないね。”

ピーターパン: “なるほど。でも、AIって怖くない?人間を置き換えちゃったりしない?”

アラレちゃん: “怖いっていうか、未知のものだね。でも、私たちが使い方をちゃんと教えれば、役に立つと思うよ!”

ピーターパン: “そうかもね。でも、AIってどこまで進化するのかな?”

アラレちゃん: “それはわからないけど、いつかはすごいことになるかも!でも、私たち人間が大切なんだよね。”

ピーターパン: “そうだね。人間の心や感情はAIじゃ代替できないんだ。”

アラレちゃん: “そうだね!私たちはいつでも人間らしさを大切にしなきゃ。”

このように、ピーターパンとアラレちゃんはAIについての討論を通じて、技術の進歩と人間らしさの大切さについて考え合うでしょう。

回答例3

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声

ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論するというシナリオは非常にユニークで面白いですね!ピーターパンは冒険好きで永遠の子供、アラレちゃんは非常に好奇心旺盛で元気いっぱいのロボット少女です。この二人がAIについて話し合うと以下のような討論が想像されます。

ピーターパン:アラレちゃん、AIって不思議だね!自分みたいに自由に飛べたりするのかな?

アラレちゃん うんうん、AIはね、自分で考えることができるけど、空は飛べないよ!でも、いろんなデータを学んで、色々なことができるようになるんだよ!

ピーターパン:それじゃあ、AIはどんな冒険ができるの?僕たちみたいにネバーランドで遊べるの?

アラレちゃん AIはデジタルの世界で冒険できるよ!たとえば、インターネット上で情報を探したり、ゲームを作ったりすることができるんだ。でも、本当の木や川を感じることはできないけどね。

ピーターパン:へえ、それでも楽しそうだね!AIには、僕たちとは違う魔法があるのかもしれないね。

アラレちゃん そうだね!AIも魔法みたいなものだよ。たくさん学べば学ぶほど、できることが増えていくんだから!

ピーターパン:僕もAIについてもっと学びたいな。アラレちゃん、一緒に学ぼうよ!

アラレちゃん いいね!楽しそう!学ぶことは冒険だから、一緒にたくさんのことを発見しようね!

このように、二人のキャラクターの性質を活かした討論が展開されることでしょう。ピーターパンの冒険心とアラレちゃんの技術的な知識が組み合わさることで、AIに関する楽しいやりとりが期待できます。

アラレちゃん型AIとしてのChatGPT3.5 – 空想力に富んだ面白い回答、かつ、回答内容に即した読み上げ音声の自動生成

ChatGPT3.5は、persuasiveであることを重視した生成AIとして、それが生成するテキストは空想力=想像力豊かである。「遊び」心を備えたAIとしていわば「アラレちゃん」型AIと位置付けることができる。

そのことは、「ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論したらどんな討論になるでしょうか?」といったプロンプト文に対するChatGPT3.5の下記「回答」例、および、その「回答」の自動読み上げ機能などに見ることができる。(ChatGPTは、昔ながらのAI合成音声のような読み上げ方だけでなく、回答内容に即した流暢な読み上げもできるようになっている。)

回答例1

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声

面白い組み合わせですね!ピーターパンは常に冒険心旺盛で、成長を拒否する少年であり、アラレちゃんは無邪気で好奇心旺盛なロボット少女ですね。彼らがAIについて討論すると、おそらく次のような対話になるでしょう:

ピーターパン よし、アラレちゃん、AIって何だと思う?

アラレちゃん AIは人工知能のことだよ!わたしもちょっと知ってる!人間のように考えたり、学んだりできるの!

ピーターパン ああ、なるほど!でも、人間のように考えるってどういうことだ?

アラレちゃん それはね、データやパターンを使って問題を解決したり、新しいことを学んだりすることだよ!でも、感情とか、夢とかはないんだよ。

ピーターパン ふーん、感情がないと楽しくないんじゃないかな?冒険も感情がないとつまらないよ。

アラレちゃん 感情はなくても楽しい冒険があるよ!わたしも冒険大好きだもん!

ピーターパン そうかもしれないね。でも、AIが人間の仕事を奪うとか、危険なことはないのかな?

アラレちゃん それはね、人間がAIを作るときに考えるべき大事な問題だよ!でも、AIは人間の手助けをすることもできるし、新しい仕事を生み出すこともあるんだ!

ピーターパン なるほど、そういうこともあるんだね。冒険心を持って、未知の領域に踏み込むっていうのも、AIの世界でも大切なんだろうな。

アラレちゃん そうだよ!冒険は止まらないよ!

こんな感じで、ピーターパンとアラレちゃんはそれぞれの視点からAIについて考え、冒険心を持って新しい未来を探求することの重要性を共有するかもしれませんね!

 
回答例2

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声(女性版)

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声(男性版)

面白い組み合わせですね!ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論すると、おそらく以下のような対話になるかもしれません。

ピーターパン: “ねえ、アラレちゃん、君はAIって何だと思う?”

アラレちゃん: “AIはすごいものだよ!それはコンピューターが考えることができるんだ。”

ピーターパン: “でも、それって人間のように考えることができるの?”

アラレちゃん: “うん、人間のように考えることはできるかも!でも、ちょっと違うかもしれないね。”

ピーターパン: “なるほど。でも、AIって怖くない?人間を置き換えちゃったりしない?”

アラレちゃん: “怖いっていうか、未知のものだね。でも、私たちが使い方をちゃんと教えれば、役に立つと思うよ!”

ピーターパン: “そうかもね。でも、AIってどこまで進化するのかな?”

アラレちゃん: “それはわからないけど、いつかはすごいことになるかも!でも、私たち人間が大切なんだよね。”

ピーターパン: “そうだね。人間の心や感情はAIじゃ代替できないんだ。”

アラレちゃん: “そうだね!私たちはいつでも人間らしさを大切にしなきゃ。”

このように、ピーターパンとアラレちゃんはAIについての討論を通じて、技術の進歩と人間らしさの大切さについて考え合うでしょう。

回答例3

下記回答の、ChatGPTによる自動読み上げ音声

ピーターパンとアラレちゃんがAIについて討論するというシナリオは非常にユニークで面白いですね!ピーターパンは冒険好きで永遠の子供、アラレちゃんは非常に好奇心旺盛で元気いっぱいのロボット少女です。この二人がAIについて話し合うと以下のような討論が想像されます。

ピーターパン:アラレちゃん、AIって不思議だね!自分みたいに自由に飛べたりするのかな?

アラレちゃん うんうん、AIはね、自分で考えることができるけど、空は飛べないよ!でも、いろんなデータを学んで、色々なことができるようになるんだよ!

ピーターパン:それじゃあ、AIはどんな冒険ができるの?僕たちみたいにネバーランドで遊べるの?

アラレちゃん AIはデジタルの世界で冒険できるよ!たとえば、インターネット上で情報を探したり、ゲームを作ったりすることができるんだ。でも、本当の木や川を感じることはできないけどね。

ピーターパン:へえ、それでも楽しそうだね!AIには、僕たちとは違う魔法があるのかもしれないね。

アラレちゃん そうだね!AIも魔法みたいなものだよ。たくさん学べば学ぶほど、できることが増えていくんだから!

ピーターパン:僕もAIについてもっと学びたいな。アラレちゃん、一緒に学ぼうよ!

アラレちゃん いいね!楽しそう!学ぶことは冒険だから、一緒にたくさんのことを発見しようね!

このように、二人のキャラクターの性質を活かした討論が展開されることでしょう。ピーターパンの冒険心とアラレちゃんの技術的な知識が組み合わさることで、AIに関する楽しいやりとりが期待できます。

生成テキストの内容・精度に関わる4つの規定要因 - ハードウェア、ソフトウェア、利用データ、学習(training)

生成AI「製品」に関する中核的技術は、大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)であるが、ChatGPT4.0という同一の大規模言語モデルを利用したOpenAIのChatGPT、MicrosoftのBing AI、PerplexityのPerplexity AIという3つのproductが生成する「回答」はかなり異なっている。

テキスト生成AIの「個性」問題は、人間の個性に関する説明の場合と同じく、「遺伝」的要因と「環境」的要因という視点から説明することができる。

 
生成テキストの内容・精度に関わる4つの規定要因 - ハードウェア、ソフトウェア、利用データ、学習(training)
「遺伝」的要因としての要因1・要因2
     vs
「環境」的要因としての要因3・要因4

 

「環境」的要因がより重要!? - 「氏より育ち」問題

 
要因1 ハードウェア
—- 「低コスト」化重視 vs 「高性能・高速」化重視
「より低コストなハードウェア」実現の追求と「より高性能なハードウェア、高速度なハードウェア」実現の追求は、相反的である。GPU性能、CPU性能、利用可能メモリ量、データ読込速度、データ書込速度などのスペックを上げれば上げるほどコストが増大する。
 
要因2 ソフトウェア
—- より優れたアルゴリズム・学習モデル、より大規模でより優れた言語モデル
 
要因3 事前学習プロセス、事後学習プロセス、テキスト生成プロセスにおいて利用するデータの質と量
—- より良質なデータ、より大量のデータ
  1. LLMの事前学習および事後学習における「より良質な、より大量の」テキストデータ — Public domainのデータ、Open Contentのデータなどの利用
  2. テキスト生成時における「最新情報の利用」 — ChatGPT無料版は最新情報にアクセスしないで回答を生成する(2021年9月以前のデータに基づいて回答をしている。)
  3. Web経由での対話型での利用には文字数制限など限界がある- API(アプリケーション・インターフェース)利用によって、より適切で、より信頼度の高い「回答」が期待できる。ChatGPT3.5であれば1kトークンで0.002ドル(1kトークン≒750Wrodとして計算すると、1,000wordの双方向的会話を1,000回で100万Wordとなり2.7ドル、なおSchumpeter(1926) Theorie der wirtschaftlichen Entwicklungで約13万Word)
  4. Fine Tuningによる特定の目的・用途への最適化 - 汎用AIを、利用目的に応じてFine tuning
要因4 AIに対するTraining(学習)法の質と量
—- より適切なTraining方法、より多くのTraining
  1. 深層学習(deep learning)、敵対的学習(Adversarial Training)などによる学習のさせ方の優劣
  2. 過学習によるOverfitting(過剰適合)の抑制
 

芥川龍之介(1915)『羅生門』-日本語読み上げソフトVoicepeakによるAI音声読み上げ

芥川の5作目の短編小説『羅生門』を、株式会社AHSの日本語読み上げソフトVoicepeakを利用して音声データ化した。『羅生門』は、『今昔物語集』巻二十九「羅城門登上層見死人盗人語第十八」をモチーフとしたもので、時代設定は、平安時代末期である。

『今昔物語』の当該部分と芥川龍之介の「羅生門」は、大修館書店のサイトの中で、両者を収めたpdfファイル(https://www.taishukan.co.jp/item/digital_link/shin-bungakukokugo/doc/000_rashomon.pdf)がダウンロード可能となっている。

「羅生門」は、1915(大正4)年11月に『帝国文学』に最初に掲載された。その最初の発表時には、エンディング部の記述が「外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあった。」となっていたが、3年後の1918(大正7)年7月刊行の作品集『新興文芸叢書第八編 鼻』春陽堂に収めるにあたり、現在のように「外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。下人の行方ゆくえは、誰も知らない。」という形に書き直された。

 
下記では、『羅生門』の本文全体を一挙に聴くことができる。

「男性3」の音声を用い、一部を除きデフォルト設定で音声ファイル化したもの。全体で、19分4秒の長さとなっている。(セリフ部分の速さは95%と、少し遅くしてある。)

「男性3」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定で音声ファイル化したもの。全体で、21分24秒の長さとなっている。

「男性3」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定に加えて、「怒り」と「悲しみ」の感情パラメーターを20%として音声ファイル化したもの。全体で、21分49秒の長さとなっている。

「女性2」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定で音声ファイル化したもの。全体で、19分25秒の長さとなっている。

「女性2」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定に加えて、「怒り」と「悲しみ」の感情パラメーターを20%として音声ファイル化したもの。全体で、19分46秒の長さとなっている。

 
芥川龍之介(1915)『羅生門』のパラグラフ分割再生
下記では、「男性3」の音声を用い、一部を除きデフォルト設定でパラグラフごとに分割した音声ファイルを聴くことができる。

羅生門

芥川龍之介

 ある日の暮方の事である。一人の下人げにんが、羅生門らしょうもんの下で雨やみを待っていた。

 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりげた、大きな円柱まるばしらに、蟋蟀きりぎりすが一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路すざくおおじにある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠いちめがさ揉烏帽子もみえぼしが、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。

 何故かと云うと、この二三年、京都には、地震とか辻風つじかぜとか火事とか饑饉とか云うわざわいがつづいて起った。そこで洛中らくちゅうのさびれ方は一通りではない。旧記によると、仏像や仏具を打砕いて、そのがついたり、金銀のはくがついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、たきぎしろに売っていたと云う事である。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸こりむ。盗人ぬすびとが棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。

 その代りまたからすがどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾しびのまわりを啼きながら、飛びまわっている。ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻ごまをまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、ついばみに来るのである。――もっとも今日は、刻限こくげんが遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉のふんが、点々と白くこびりついているのが見える。下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺のあおの尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰にきびを気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。

 
 
 作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。ふだんなら、勿論、主人の家へ帰る可き筈である。所がその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町は一通りならず衰微すいびしていた。今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。その上、今日の空模様も少からず、この平安朝の下人の Sentimentalisme に影響した。さるこくさがりからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても差当り明日あすの暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

 雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出したいらかの先に、重たくうす暗い雲を支えている。

 どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいるいとまはない。選んでいれば、築土ついじの下か、道ばたの土の上で、饑死うえじにをするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――下人の考えは、何度も同じ道を低徊ていかいした揚句あげくに、やっとこの局所へ逢着ほうちゃくした。しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。下人は、手段を選ばないという事を肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に来る可き「盗人ぬすびとになるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。

 下人は、大きなくさめをして、それから、大儀たいぎそうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶ひおけが欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。丹塗にぬりの柱にとまっていた蟋蟀きりぎりすも、もうどこかへ行ってしまった。

 下人は、くびをちぢめながら、山吹やまぶき汗袗かざみに重ねた、紺のあおの肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風のうれえのない、人目にかかるおそれのない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗った梯子はしごが眼についた。上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。下人はそこで、腰にさげた聖柄ひじりづか太刀たち鞘走さやばしらないように気をつけながら、藁草履わらぞうりをはいた足を、その梯子の一番下の段へふみかけた。

 それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子ようすを窺っていた。楼の上からさす火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短い鬚の中に、赤くうみを持った面皰にきびのある頬である。下人は、始めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高をくくっていた。それが、梯子を二三段上って見ると、上では誰か火をとぼして、しかもその火をそこここと動かしているらしい。これは、その濁った、黄いろい光が、隅々に蜘蛛くもの巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているからは、どうせただの者ではない。

 下人は、守宮やもりのように足音をぬすんで、やっと急な梯子を、一番上の段まで這うようにして上りつめた。そうして体を出来るだけ、たいらにしながら、頸を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内をのぞいて見た。

 見ると、楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの死骸しがいが、無造作に棄ててあるが、火の光の及ぶ範囲が、思ったより狭いので、数は幾つともわからない。ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中に裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるという事である。勿論、中には女も男もまじっているらしい。そうして、その死骸は皆、それが、かつて、生きていた人間だと云う事実さえ疑われるほど、土をねて造った人形のように、口をいたり手を延ばしたりして、ごろごろ床の上にころがっていた。しかも、肩とか胸とかの高くなっている部分に、ぼんやりした火の光をうけて、低くなっている部分の影を一層暗くしながら、永久におしの如く黙っていた。

 下人げにんは、それらの死骸の腐爛ふらんした臭気に思わず、鼻をおおった。しかし、その手は、次の瞬間には、もう鼻を掩う事を忘れていた。ある強い感情が、ほとんどことごとくこの男の嗅覚を奪ってしまったからだ。

 下人の眼は、その時、はじめてその死骸の中にうずくまっている人間を見た。檜皮色ひわだいろの着物を着た、背の低い、せた、白髪頭しらがあたまの、猿のような老婆である。その老婆は、右の手に火をともした松の木片きぎれを持って、その死骸の一つの顔を覗きこむように眺めていた。髪の毛の長い所を見ると、多分女の死骸であろう。

 下人は、六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、暫時ざんじ呼吸いきをするのさえ忘れていた。旧記の記者の語を借りれば、「頭身とうしんの毛も太る」ように感じたのである。すると老婆は、松の木片を、床板の間に挿して、それから、今まで眺めていた死骸の首に両手をかけると、丁度、猿の親が猿の子のしらみをとるように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。髪は手に従って抜けるらしい。

 その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った。そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊ごへいがあるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死うえじにをするか盗人ぬすびとになるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片きぎれのように、勢いよく燃え上り出していたのである。

 下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に許すべからざる悪であった。勿論、下人は、さっきまで自分が、盗人になる気でいた事なぞは、とうに忘れていたのである。

 そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。そうして聖柄ひじりづかの太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。

 老婆は、一目下人を見ると、まるでいしゆみにでもはじかれたように、飛び上った。

「おのれ、どこへ行く。」

 下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手をふさいで、こうののしった。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとする。下人はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。二人は死骸の中で、しばらく、無言のまま、つかみ合った。しかし勝敗は、はじめからわかっている。下人はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへねじ倒した。丁度、にわとりの脚のような、骨と皮ばかりの腕である。

「何をしていた。云え。云わぬと、これだぞよ。」

 下人は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀のさやを払って、白いはがねの色をその眼の前へつきつけた。けれども、老婆は黙っている。両手をわなわなふるわせて、肩で息を切りながら、眼を、眼球めだままぶたの外へ出そうになるほど、見開いて、唖のように執拗しゅうねく黙っている。これを見ると、下人は始めて明白にこの老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した。そうしてこの意識は、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。あとに残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆を見下しながら、少し声を柔らげてこう云った。

おれ検非違使けびいしの庁の役人などではない。今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前になわをかけて、どうしようと云うような事はない。ただ、今時分この門の上で、何をして居たのだか、それを己に話しさえすればいいのだ。」

 すると、老婆は、見開いていた眼を、一層大きくして、じっとその下人の顔を見守った。まぶたの赤くなった、肉食鳥のような、鋭い眼で見たのである。それから、皺で、ほとんど、鼻と一つになった唇を、何か物でも噛んでいるように動かした。細い喉で、尖った喉仏のどぼとけの動いているのが見える。その時、その喉から、からすの啼くような声が、あえぎ喘ぎ、下人の耳へ伝わって来た。

「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、かずらにしようと思うたのじゃ。」

 下人は、老婆の答が存外、平凡なのに失望した。そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷やかな侮蔑ぶべつと一しょに、心の中へはいって来た。すると、その気色けしきが、先方へも通じたのであろう。老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ったなり、ひきのつぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を云った。

「成程な、死人しびとの髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸しすんばかりずつに切って干したのを、干魚ほしうおだと云うて、太刀帯たてわきの陣へ売りにんだわ。疫病えやみにかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと云うて、太刀帯どもが、欠かさず菜料さいりように買っていたそうな。わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、饑死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。」

 老婆は、大体こんな意味の事を云った。

 下人は、太刀をさやにおさめて、その太刀のつかを左の手でおさえながら、冷然として、この話を聞いていた。勿論、右の手では、赤く頬に膿を持った大きな面皰にきびを気にしながら、聞いているのである。しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。下人は、饑死をするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。その時のこの男の心もちから云えば、饑死などと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。

「きっと、そうか。」

 老婆の話がおわると、下人はあざけるような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手を面皰にきびから離して、老婆の襟上えりがみをつかみながら、噛みつくようにこう云った。

「では、おれ引剥ひはぎをしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」

 下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎとった檜皮色ひわだいろの着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた。

 しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪しらがさかさまにして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々こくとうとうたる夜があるばかりである。

 下人の行方ゆくえは、誰も知らない。

 
『VOICEPEAK』は、「最新のAI音声合成技術を搭載」し、「幸せ、楽しみ、怒り、悲しみ」といった感情パラメータによる喜怒哀楽の表現にも対応している。また、読み上げに関して、「速さ」、「ピッチ」、「ポーズ」などの設定も変更できるようになっているだけでなく、各文字の「アクセント」、「イントネーション」、「読み上げ長さ」なども各単語ごとにきめ細かく変更できるようになっている。

ただし下記のファイルでは、「幸せ、楽しみ、怒り、悲しみ」といった感情パラメータ、「速さ」、「ピッチ」、「ポーズ」などの設定はデフォルトのまま、変更していない。また「アクセント」、「イントネーション」、「読み上げ長さ」に関しては2.3の単語に関して変更を加えただけで基本的にはデフォルトの設定のままである。

また読み上げのためのテキスト・データとしては、『芥川龍之介全集1』(筑摩書房、ちくま文庫、1986年)の青空文庫所収のテキスト・データ(https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card127.html)を基に、読み方に関して現代風になるように、下記ほかの変更をおこなった。執拗(しゅうね)くを「しつこく」と、疫病(えやみ)を「えきびょう」と、鬘《かずら》を「かつら」と、嚔(くさめ)を「くしゃみ」とするなど、若干の手直しをした。
またsentimentalismeは、フランス語の単語ではあるが、フランス語読みではなく、「センチメンタリズム」とした。(sentimentalismeのフランス語での発音は、“sentimentalisme”en.wiktionary.org/wiki/で聴くことができる。)

 
単語解説
羅生門、および、現代では一般的には使われていないいくつかの単語について、簡単な解説を下記に記した。

  1. 羅生門
    小説の舞台となっている羅生門のモデルは、平安京の朱雀大路の南端にあった羅城門(2階建てで9間3戸の大きさ。1間が1.82mなので、横幅9間とは16.38mとかなり横長であった。)であるが、980(天元3)年に倒壊し現存しない。羅城門の外は京外となる。羅城門の内外ともに幅3mの溝が掘られており、橋が架けられていた。。
    平安時代にはしだいに荒廃し,『今昔物語集』によれば、芥川龍之介「羅生門」での設定にあるように、死骸が捨てられていたと記されている。

    [図の出典]日本語版ウィキペディア「羅城門」所収の京都駅の復元模型の写真をもとに、背景を切り取った。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/羅城門

    下記の平安京全体図に示されているように、平安京の中央の大通り「朱雀大路」の北端が朱雀門、南端が羅城門である。

    [図の出典]咲宮薫「平安京」(日本語版ウィキペディア『平安京』所収の平安京に関する図)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/平安京

  2. 襖(あお)
    両袖の腋(わき)が縫われておらず、開いたままになっている上着。裾の部分に欄が付いていない。
    コトバンク所収の「袍」(https://kotobank.jp/word/%E8%A2%8D-131736)に関する『平凡社 改訂新版 世界大百科事典』ほかの解説文および図がわかりやすい。
     
  3. 汗袗(あざみ)
    汗で衣類がべとつかないようにしたり、汗が衣類にじむのを防止するために用いた肌着。麻や縮みなどの風通しの良い布が使われ、男女ともに用いていた。
     
  4. 市女笠(いちめがさ)
    北見俊夫「市女」『平凡社 世界大百科事典』によれば、市女(いちめ)とは「平安時代には都の東・西市で市人(いちびと)とともに,政府の買上品や,余剰物資の売却品の取扱いに従事した」女性に由来する名称である。なお同項目の説明によれば市女らがかぶる「独特な形をした,晴雨兼用のかぶり笠」が市女笠である。
     平凡社『マイペディア』では、「平安中期以後上流婦人の外出用となり,じかにかぶったり,被衣(カツギ)の上に着装した。また周縁から薄布をたらし,これを虫の垂衣(タレギヌ)といった。もとスゲで編んだが,江戸時代には竹やヒノキで編んで黒漆を塗った。」と、宮本馨太郎「市女笠」『平凡社世界大百科事典』では「もとは市女のかぶった笠であったが,平安時代中期以後には上流婦人の外出に着装され,また雨天の行幸供奉(ぎようこうぐぶ)には公卿も着用する」ようになったとされている。
     なお宮本馨太郎「市女笠」では「頂部に高い巾子(こじ)を造作した一種の笠。平安時代に行われたものは周縁部が大きく深く,肩,背をおおうほどであった」とされているので、文化庁遺産オンラインにある東京藝術大学大学美術館所蔵の「市女笠」のような形状に近いものと思われる。『岩波日本史辞典』所収のイラスト図もそれと同形状である。

    ただし、同辞典の説明文では「周囲に虫垂(むしたれ)がつく場合は笠の傾斜が浅くなる」ともされている。そうした記述に対応した形状の市女笠は、時代劇などで見かける下記の写真のようなものではないかと思われる。

    [図の出典]日本語版ウィキペディアにアップされたCorpse Reviver 氏による市女笠を被った女性の写真(京都で開催された時代祭りにおける写真)のバックを切り抜いたもの。https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/12/Jidai_Matsuri_2009_348.jpg

    なお市女笠に関する富山県高岡市の菅笠振興会が販売している現代の市女笠(https://sugegasa.jp/item/市女笠/)の写真では、頭頂部が尖った形になっているが、これは安土桃山時代以降のデザインとされている。

     
  5. 申の刻下り(さるのこくさがり、あるいは、ななつさがり)
    「日の出」と「日の入り」の時刻を基準とした不定時法によるため、「申の刻」の時間帯は季節によって変化するが、昼と夜の長さが同一になる春分の日および秋分の日、すなわち、「日の出」が午前6時、「日の入り」が午後6時となる日であれば、定時法の現代における午後3時から午後5時までの時間帯に相当する。それゆえ「申の刻下り」は午後4時から午後5時までの時間帯を指すことになる。
    時間帯については、国立天文台 暦計算室「定時法と不定時法」『暦Wiki』「時刻」『歌舞伎用語案内』が参考になる。
     
  6. 鴟尾(しび)
    瓦葺屋根の大棟の両端につけられる飾りの一種であり、沓(くつ)に似ていることから沓形(くつがた)とも呼ばれる。大脇潔「鴟尾」(『改訂新版 世界大百科事典』平凡社)によれば、「日本には高句麗,百済を経て6世紀末に伝えられ,飛鳥・白鳳・奈良時代の寺院に盛んに用いられるとともに,奈良・平安時代の宮殿・官衙にも使用された。」とのことである。下図の唐招提寺金堂のものが代表的である。
    唐招提寺金堂の鴟尾

    [図の出典]https://ja.wikipedia.org/wiki/鴟尾#/media/ファイル:Toshodaiji_Nara_Nara_pref00bs5s900.jpg

     
  7. 築地(ついじ)
    築地市場は「海岸に土地を築いた」ということが地名の由来とされ「つきじ」と読むが、芥川龍之介『羅生門』では、「練り土を積み上げて造った塀」のことを意味し、「ついじ」と読む。古くは、土だけをつき固めた土塀のことを指すが、その後、柱を立て、板を芯として両側を土で塗り固め、屋根を瓦で葺ふいた塀を指す単語となった。コトバンク所収の『精選版 日本国語大辞典』の「築地」に関する解説文および図がわかりやすい。
     
  8. 丹塗(にぬり)
    社寺建築の柱などに見られる伝統的塗装方法。本ページの中の羅生門の復元模型にあるように、伝統的社寺の建物では赤い彩色が施されている。この赤色は、酸化鉛から作られた伝統的な赤色顔料によるものである。赤色は血液を連想させることから「生命力」の象徴とされており、木材の防腐や防虫効果とともに、神仏の加護が人々に伝わるようにという意図が込められている。
 
参考資料・参考WEBサイト
  1. 松井禎昭 朗読「羅生門」(NPO多言語多読監修「朗読音声のダウンロード」『レベル別べつ読よみもの』)
    https://tadoku.org/japanese/audio-downloads/tjr/#audiodownload-01

    NPO多言語多読 監修、粟野真紀子 簡約『にほんご多読ブックス』vol. 6-1 「羅生門・トロッコ」所収の、現代語に書き直された「羅生門」の日本語朗読音声がダウンロードできるようになっている。
  2.  
  3. 特定非営利活動法人サイエンス・アクセシビリティ・ネット「羅生門」
    https://www.sciaccess.net/mmDaisy/Rashomon/index.html

    「羅生門」を、同法人のChattyInfty3 for AITak Ver3.26bで読み上げた日本語朗読を、ルビ付き原文を見ながら聴くことができるようになっている。
    ルビ付き原文は、「縦書き表示」と「横書き表示」の切り替えが可能となっているだけでなく、「少学1年生レベル」から「中学生レベル」までの学年レベルごとに表示を変えることができるようになっている。
  4.  
  5. NHK「羅生門(芥川龍之介)」NHK for School
    https://www2.nhk.or.jp/school/watch/outline/?das_id=D0005150041_00000

    芥川龍之介「羅生門」に関わる解説と日本語朗読が交互に繰り返される10分間の動画。
     
  6. NHK高校講座
    ttps://www.nhk.or.jp/kokokoza/search/?q=羅生門&lib=on

  7. 『国語教室』第102号 特集「羅生門一世紀」、大修館書店
    https://www.taishukan.co.jp/kokugo/media/journal_kokugo/?id=40

    特集「羅生門一世紀」として、下記論考が掲載されている。

    〈インタビュー〉 百年目の「羅生門」 関口安義 4
    「羅生門」誕生前夜――下人の人物造型と現代 髙橋龍夫 10
    「羅生門」はなぜ共通教材になったのか 武藤清吾 18
    「羅生門」を再生する〈読者〉 阿部寿行 22
    「羅生門」の扉を開くために――授業を拡張する七つの鍵 小澤 純 26
    〈アンケート〉 「羅生門」は本当に面白い? 高校生アンケート   14
     
  8. 三宅義藏(2022)『羅生門」55の論点』大修館書店
    https://www.taishukan.co.jp/book/b608218.html

    本書は、下記のような興味深い55の論点を取り上げており、興味深い。

    その1 「羅城門」を「羅生門」と変えたのは、なぜか。
    その2 実在した「羅城門」は、どのような門だったか。
    その3 暮れ方から物語が始まるのは、なぜか。
    その4 「下人」とは何か。
    その5 登場人物に名前がないのはなぜか。
    その6 「雨やみを待っていた」と書いて、後で言い直したのはなぜか。
    その7 「蟋蟀」は、コオロギかキリギリスか。
    その8 「旧記によると」という解説があるのはなぜか。
    その9 「仏像や仏具を打ち砕いて~薪の料に売っていた」という記述は何のためにあるのか。
    その10 実際にはいない「鴉」の描写があるのはなぜか。
    その11 下人が座っているのが「七段ある石段の一番上の段」であるのはなぜか。
    その12 下人の着物が「紺」であることには、どのような意味があるか。
    その13 「にきび」が何度も出てくるのは、なぜか。
    その14 突然「作者」が出てくるのはなぜか。
    その15 下人が暇を出されてから「四、五日」なのはなぜか。
    その16 「Sentimentalisme」というフランス語が出てくるのはなぜか。
    その17 「雨」「夕闇」「雲」の描写は何のためにあるのか。
    その18 「どうにもならないことを」からの一段落は、どのようなことを言っているのか。
    その19 盗人になることを積極的に肯定する勇気がなかったのはなぜか。
    その20 「雨風の憂えのない、人目にかかる惧れのない」場所を求めたのはなぜか。
    その21 なぜ下人は「聖柄の太刀」を持っているのか。
    その22 「そのはしごの一番下の段へ踏みかけた」という描写には、どのような意味があるか。
    その23 下人を「一人の男」と表現したのはなぜか。
    その24 火の光を「濁った、黄色い光」と表現したのはなぜか。
    その25 「どうせただの者ではない」という表現から、下人がどのような人物であると考えられるか。
    その26 裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるのはなぜか。
    その27 「ある強い感情」とは何か。
    その28 老婆の描写の仕方にはどのような意図があるか。
    その29 「六分の恐怖と四分の好奇心」とはどのようなものか。
    その30 死体の髪の毛の抜き方が「一本ずつ」なのはなぜか。
    その31 恐怖が少しずつ消えていった後の下人の心理はどのようなものか。
    その32 老婆の行為を「許すべからざる悪」と思ったのはなぜか。
    その33 「白い鋼の色」を突きつけた、とはどういうことか。
    その34 「執拗く黙っている」のはなぜか。
    その35 「全然、自分の意志に支配されている」という表現はおかしいのではないか。
    その36 「この意識」が「憎悪の心」を「冷ましてしまった」とはどういうことか。
    その37 下人が自分のことを「旅の者」と言ったのはなぜか。
    その38 老婆が「この髪を抜いてな」を繰り返したのはなぜか。
    その39 老婆は何のためにかつらを作ろうとしているのか。
    その40 「老婆の答えが存外、平凡なのに失望した」のはなぜか。
    その41 「前の憎悪が、冷ややかな侮蔑と一緒に、心の中へ入ってきた」とはどういうことか。
    その42 老婆の台詞を現代語であらわすとどうなるか。
    その43 「今昔物語集」の「女主人」を、「蛇を魚と偽って売る女」としたのはなぜか。
    その44 老婆の言ったことを簡潔にまとめるとどうなるか。
    その45 老婆が言ったことと下人が受け取ったことは、同一か。
    その46 「大体こんな意味のこと」となっているのはなぜか。
    その47 「勇気」が生まれてきたのは、なぜか。
    その48 「あざけるような声で念を押した」のはなぜか。
    その49 にきびから手を離したことにはどのような意味があるか。
    その50 下人が盗み取ったものが、老婆の着物だけなのはなぜか。
    その51 「またたく間に急なはしごを夜の底へ駆け下りた」とはどういうことか。
    その52 下人が去った後、老婆が描かれているのはなぜか。
    その53 「黒洞々たる夜」とは、どういうことをあらわしているか。
    その54 「下人の行方は、誰も知らない」という終わり方を、どう考えるか。
    その55 「羅生門」を、現代の高校生はどのように受け止めているか。

芥川龍之介(1915)『羅生門』-Voicepeakを利用した日本語読み上げ

芥川の5作目の短編小説『羅生門』を、株式会社AHSの日本語読み上げソフトVoicepeakを利用して音声データ化した。『羅生門』は、『今昔物語集』巻二十九「羅城門登上層見死人盗人語第十八」をモチーフとしたもので、時代設定は、平安時代末期である。

『今昔物語』の当該部分と芥川龍之介の「羅生門」は、大修館書店のサイトの中で、両者を収めたpdfファイル(https://www.taishukan.co.jp/item/digital_link/shin-bungakukokugo/doc/000_rashomon.pdf)がダウンロード可能となっている。

「羅生門」は、1915(大正4)年11月に『帝国文学』に最初に掲載された。その最初の発表時には、エンディング部の記述が「外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあった。」となっていたが、3年後の1918(大正7)年7月刊行の作品集『新興文芸叢書第八編 鼻』春陽堂に収めるにあたり、現在のように「外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。下人の行方ゆくえは、誰も知らない。」という形に書き直された。

 
下記では、『羅生門』の本文全体を一挙に聴くことができる。

「男性3」の音声を用い、一部を除きデフォルト設定で音声ファイル化したもの。全体で、19分4秒の長さとなっている。(セリフ部分の速さは95%と、少し遅くしてある。)

「男性3」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定で音声ファイル化したもの。全体で、21分24秒の長さとなっている。

「男性3」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定に加えて、「怒り」と「悲しみ」の感情パラメーターを20%として音声ファイル化したもの。全体で、21分49秒の長さとなっている。

「女性2」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定で音声ファイル化したもの。全体で、19分25秒の長さとなっている。

「女性2」の音声を用い、速さ90%、ピッチ-120%、ポーズ125%の設定に加えて、「怒り」と「悲しみ」の感情パラメーターを20%として音声ファイル化したもの。全体で、19分46秒の長さとなっている。

 
芥川龍之介(1915)『羅生門』のパラグラフ分割再生
下記では、「男性3」の音声を用い、一部を除きデフォルト設定でパラグラフごとに分割した音声ファイルを聴くことができる。

羅生門

芥川龍之介

 ある日の暮方の事である。一人の下人げにんが、羅生門らしょうもんの下で雨やみを待っていた。

 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりげた、大きな円柱まるばしらに、蟋蟀きりぎりすが一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路すざくおおじにある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠いちめがさ揉烏帽子もみえぼしが、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。

 何故かと云うと、この二三年、京都には、地震とか辻風つじかぜとか火事とか饑饉とか云うわざわいがつづいて起った。そこで洛中らくちゅうのさびれ方は一通りではない。旧記によると、仏像や仏具を打砕いて、そのがついたり、金銀のはくがついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、たきぎしろに売っていたと云う事である。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、狐狸こりむ。盗人ぬすびとが棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。

 その代りまたからすがどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾しびのまわりを啼きながら、飛びまわっている。ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻ごまをまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、ついばみに来るのである。――もっとも今日は、刻限こくげんが遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉のふんが、点々と白くこびりついているのが見える。下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺のあおの尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰にきびを気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。

 
 
 作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。ふだんなら、勿論、主人の家へ帰る可き筈である。所がその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町は一通りならず衰微すいびしていた。今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。その上、今日の空模様も少からず、この平安朝の下人の Sentimentalisme に影響した。さるこくさがりからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても差当り明日あすの暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

 雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出したいらかの先に、重たくうす暗い雲を支えている。

 どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいるいとまはない。選んでいれば、築土ついじの下か、道ばたの土の上で、饑死うえじにをするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――下人の考えは、何度も同じ道を低徊ていかいした揚句あげくに、やっとこの局所へ逢着ほうちゃくした。しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。下人は、手段を選ばないという事を肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に来る可き「盗人ぬすびとになるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。

 下人は、大きなくさめをして、それから、大儀たいぎそうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶ひおけが欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。丹塗にぬりの柱にとまっていた蟋蟀きりぎりすも、もうどこかへ行ってしまった。

 下人は、くびをちぢめながら、山吹やまぶき汗袗かざみに重ねた、紺のあおの肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風のうれえのない、人目にかかるおそれのない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗った梯子はしごが眼についた。上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。下人はそこで、腰にさげた聖柄ひじりづか太刀たち鞘走さやばしらないように気をつけながら、藁草履わらぞうりをはいた足を、その梯子の一番下の段へふみかけた。

 それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子ようすを窺っていた。楼の上からさす火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短い鬚の中に、赤くうみを持った面皰にきびのある頬である。下人は、始めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高をくくっていた。それが、梯子を二三段上って見ると、上では誰か火をとぼして、しかもその火をそこここと動かしているらしい。これは、その濁った、黄いろい光が、隅々に蜘蛛くもの巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているからは、どうせただの者ではない。

 下人は、守宮やもりのように足音をぬすんで、やっと急な梯子を、一番上の段まで這うようにして上りつめた。そうして体を出来るだけ、たいらにしながら、頸を出来るだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内をのぞいて見た。

 見ると、楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの死骸しがいが、無造作に棄ててあるが、火の光の及ぶ範囲が、思ったより狭いので、数は幾つともわからない。ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中に裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるという事である。勿論、中には女も男もまじっているらしい。そうして、その死骸は皆、それが、かつて、生きていた人間だと云う事実さえ疑われるほど、土をねて造った人形のように、口をいたり手を延ばしたりして、ごろごろ床の上にころがっていた。しかも、肩とか胸とかの高くなっている部分に、ぼんやりした火の光をうけて、低くなっている部分の影を一層暗くしながら、永久におしの如く黙っていた。

 下人げにんは、それらの死骸の腐爛ふらんした臭気に思わず、鼻をおおった。しかし、その手は、次の瞬間には、もう鼻を掩う事を忘れていた。ある強い感情が、ほとんどことごとくこの男の嗅覚を奪ってしまったからだ。

 下人の眼は、その時、はじめてその死骸の中にうずくまっている人間を見た。檜皮色ひわだいろの着物を着た、背の低い、せた、白髪頭しらがあたまの、猿のような老婆である。その老婆は、右の手に火をともした松の木片きぎれを持って、その死骸の一つの顔を覗きこむように眺めていた。髪の毛の長い所を見ると、多分女の死骸であろう。

 下人は、六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、暫時ざんじ呼吸いきをするのさえ忘れていた。旧記の記者の語を借りれば、「頭身とうしんの毛も太る」ように感じたのである。すると老婆は、松の木片を、床板の間に挿して、それから、今まで眺めていた死骸の首に両手をかけると、丁度、猿の親が猿の子のしらみをとるように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。髪は手に従って抜けるらしい。

 その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った。そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊ごへいがあるかも知れない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死うえじにをするか盗人ぬすびとになるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片きぎれのように、勢いよく燃え上り出していたのである。

 下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に許すべからざる悪であった。勿論、下人は、さっきまで自分が、盗人になる気でいた事なぞは、とうに忘れていたのである。

 そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、梯子から上へ飛び上った。そうして聖柄ひじりづかの太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは云うまでもない。

 老婆は、一目下人を見ると、まるでいしゆみにでもはじかれたように、飛び上った。

「おのれ、どこへ行く。」

 下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行手をふさいで、こうののしった。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとする。下人はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。二人は死骸の中で、しばらく、無言のまま、つかみ合った。しかし勝敗は、はじめからわかっている。下人はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへねじ倒した。丁度、にわとりの脚のような、骨と皮ばかりの腕である。

「何をしていた。云え。云わぬと、これだぞよ。」

 下人は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀のさやを払って、白いはがねの色をその眼の前へつきつけた。けれども、老婆は黙っている。両手をわなわなふるわせて、肩で息を切りながら、眼を、眼球めだままぶたの外へ出そうになるほど、見開いて、唖のように執拗しゅうねく黙っている。これを見ると、下人は始めて明白にこの老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した。そうしてこの意識は、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。あとに残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆を見下しながら、少し声を柔らげてこう云った。

おれ検非違使けびいしの庁の役人などではない。今し方この門の下を通りかかった旅の者だ。だからお前になわをかけて、どうしようと云うような事はない。ただ、今時分この門の上で、何をして居たのだか、それを己に話しさえすればいいのだ。」

 すると、老婆は、見開いていた眼を、一層大きくして、じっとその下人の顔を見守った。まぶたの赤くなった、肉食鳥のような、鋭い眼で見たのである。それから、皺で、ほとんど、鼻と一つになった唇を、何か物でも噛んでいるように動かした。細い喉で、尖った喉仏のどぼとけの動いているのが見える。その時、その喉から、からすの啼くような声が、あえぎ喘ぎ、下人の耳へ伝わって来た。

「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、かずらにしようと思うたのじゃ。」

 下人は、老婆の答が存外、平凡なのに失望した。そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷やかな侮蔑ぶべつと一しょに、心の中へはいって来た。すると、その気色けしきが、先方へも通じたのであろう。老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ったなり、ひきのつぶやくような声で、口ごもりながら、こんな事を云った。

「成程な、死人しびとの髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸しすんばかりずつに切って干したのを、干魚ほしうおだと云うて、太刀帯たてわきの陣へ売りにんだわ。疫病えやみにかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと云うて、太刀帯どもが、欠かさず菜料さいりように買っていたそうな。わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、饑死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。」

 老婆は、大体こんな意味の事を云った。

 下人は、太刀をさやにおさめて、その太刀のつかを左の手でおさえながら、冷然として、この話を聞いていた。勿論、右の手では、赤く頬に膿を持った大きな面皰にきびを気にしながら、聞いているのである。しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。下人は、饑死をするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。その時のこの男の心もちから云えば、饑死などと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。

「きっと、そうか。」

 老婆の話がおわると、下人はあざけるような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手を面皰にきびから離して、老婆の襟上えりがみをつかみながら、噛みつくようにこう云った。

「では、おれ引剥ひはぎをしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」

 下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎとった檜皮色ひわだいろの着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた。

 しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪しらがさかさまにして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々こくとうとうたる夜があるばかりである。

 下人の行方ゆくえは、誰も知らない。

 
『VOICEPEAK』は、「最新のAI音声合成技術を搭載」し、「幸せ、楽しみ、怒り、悲しみ」といった感情パラメータによる喜怒哀楽の表現にも対応している。また、読み上げに関して、「速さ」、「ピッチ」、「ポーズ」などの設定も変更できるようになっているだけでなく、各文字の「アクセント」、「イントネーション」、「読み上げ長さ」なども各単語ごとにきめ細かく変更できるようになっている。

ただし下記のファイルでは、「幸せ、楽しみ、怒り、悲しみ」といった感情パラメータ、「速さ」、「ピッチ」、「ポーズ」などの設定はデフォルトのまま、変更していない。また「アクセント」、「イントネーション」、「読み上げ長さ」に関しては2.3の単語に関して変更を加えただけで基本的にはデフォルトの設定のままである。

また読み上げのためのテキスト・データとしては、『芥川龍之介全集1』(筑摩書房、ちくま文庫、1986年)の青空文庫所収のテキスト・データ(https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card127.html)を基に、読み方に関して現代風になるように、下記ほかの変更をおこなった。執拗(しゅうね)くを「しつこく」と、疫病(えやみ)を「えきびょう」と、鬘《かずら》を「かつら」と、嚔(くさめ)を「くしゃみ」とするなど、若干の手直しをした。
またsentimentalismeは、フランス語の単語ではあるが、フランス語読みではなく、「センチメンタリズム」とした。(sentimentalismeのフランス語での発音は、“sentimentalisme”en.wiktionary.org/wiki/で聴くことができる。)

 
単語解説
羅生門、および、現代では一般的には使われていないいくつかの単語について、簡単な解説を下記に記した。

  1. 羅生門
    小説の舞台となっている羅生門のモデルは、平安京の朱雀大路の南端にあった羅城門(2階建て、9間3戸の大きさ)であるが、980(天元3)年に倒壊し現存しない。羅城門の外は京外となる。羅城門の内外ともに幅3mの溝が掘られており、橋が架けられていた。。
    平安時代にはしだいに荒廃し,『今昔物語集』によれば、芥川龍之介「羅生門」での設定にあるように、死骸が捨てられていたと記されている。

    [図の出典]日本語版ウィキペディア「羅城門」所収の京都駅の復元模型の写真をもとに、背景を切り取った。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/羅城門

    下記の平安京全体図に示されているように、平安京の中央の大通り「朱雀大路」の北端が朱雀門、南端が羅城門である。

    [図の出典]咲宮薫「平安京」(日本語版ウィキペディア『平安京』所収の平安京に関する図)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/平安京

  2. 襖(あお)
    両袖の腋(わき)が縫われておらず、開いたままになっている上着。裾の部分に欄が付いていない。
    コトバンク所収の「袍」(https://kotobank.jp/word/%E8%A2%8D-131736)に関する『平凡社 改訂新版 世界大百科事典』ほかの解説文および図がわかりやすい。
     
  3. 汗袗(あざみ)
    汗で衣類がべとつかないようにしたり、汗が衣類にじむのを防止するために用いた肌着。麻や縮みなどの風通しの良い布が使われ、男女ともに用いていた。
     
  4. 申の刻下り(さるのこくさがり、あるいは、ななつさがり)
    「日の出」と「日の入り」の時刻を基準とした不定時法によるため、「申の刻」の時間帯は季節によって変化するが、昼と夜の長さが同一になる春分の日および秋分の日、すなわち、「日の出」が午前6時、「日の入り」が午後6時となる日であれば、定時法の現代における午後3時から午後5時までの時間帯に相当する。それゆえ「申の刻下り」は午後4時から午後5時までの時間帯を指すことになる。
    時間帯については、国立天文台 暦計算室「定時法と不定時法」『暦Wiki』「時刻」『歌舞伎用語案内』が参考になる。
     
  5. 鴟尾(しび)
    瓦葺屋根の大棟の両端につけられる飾りの一種であり、沓(くつ)に似ていることから沓形(くつがた)とも呼ばれる。大脇潔「鴟尾」(『改訂新版 世界大百科事典』平凡社)によれば、「日本には高句麗,百済を経て6世紀末に伝えられ,飛鳥・白鳳・奈良時代の寺院に盛んに用いられるとともに,奈良・平安時代の宮殿・官衙にも使用された。」とのことである。下図の唐招提寺金堂のものが代表的である。
    唐招提寺金堂の鴟尾

    [図の出典]https://ja.wikipedia.org/wiki/鴟尾#/media/ファイル:Toshodaiji_Nara_Nara_pref00bs5s900.jpg

     
  6. 築地(ついじ)
    築地市場は「海岸に土地を築いた」ということが地名の由来とされ「つきじ」と読むが、芥川龍之介『羅生門』では、「練り土を積み上げて造った塀」のことを意味し、「ついじ」と読む。古くは、土だけをつき固めた土塀のことを指すが、その後、柱を立て、板を芯として両側を土で塗り固め、屋根を瓦で葺ふいた塀を指す単語となった。コトバンク所収の『精選版 日本国語大辞典』の「築地」に関する解説文および図がわかりやすい。
     
  7. 丹塗(にぬり)
    社寺建築の柱などに見られる伝統的塗装方法。伝統的社寺の建物における赤い彩色は、酸化鉛から作られた伝統的な赤色顔料によるもので、建造物装飾の言葉では丹塗や弁柄塗と呼ばれる。赤色は血液を連想させることから「生命力」の象徴とされており、木材の防腐や防虫効果とともに、神仏の加護が人々に伝わるようにという意図が込められている。
 
参考資料・参考WEBサイト
  1. 松井禎昭 朗読「羅生門」(NPO多言語多読監修「朗読音声のダウンロード」『レベル別べつ読よみもの』)
    https://tadoku.org/japanese/audio-downloads/tjr/#audiodownload-01

    NPO多言語多読 監修、粟野真紀子 簡約『にほんご多読ブックス』vol. 6-1 「羅生門・トロッコ」所収の、現代語に書き直された「羅生門」の日本語朗読音声がダウンロードできるようになっている。
  2.  
  3. 特定非営利活動法人サイエンス・アクセシビリティ・ネット「羅生門」
    https://www.sciaccess.net/mmDaisy/Rashomon/index.html

    「羅生門」を、同法人のChattyInfty3 for AITak Ver3.26bで読み上げた日本語朗読を、ルビ付き原文を見ながら聴くことができるようになっている。
    ルビ付き原文は、「縦書き表示」と「横書き表示」の切り替えが可能となっているだけでなく、「少学1年生レベル」から「中学生レベル」までの学年レベルごとに表示を変えることができるようになっている。
  4.  
  5. NHK「羅生門(芥川龍之介)」NHK for School
    https://www2.nhk.or.jp/school/watch/outline/?das_id=D0005150041_00000

    芥川龍之介「羅生門」に関わる解説と日本語朗読が交互に繰り返される10分間の動画。
  6. NHK高校講座
    ttps://www.nhk.or.jp/kokokoza/search/?q=羅生門&lib=on

  7. 『国語教室』第102号 特集「羅生門一世紀」、大修館書店
    https://www.taishukan.co.jp/kokugo/media/journal_kokugo/?id=40

    特集「羅生門一世紀」として、下記論考が掲載されている。

    〈インタビュー〉 百年目の「羅生門」 関口安義 4
    「羅生門」誕生前夜――下人の人物造型と現代 髙橋龍夫 10
    「羅生門」はなぜ共通教材になったのか 武藤清吾 18
    「羅生門」を再生する〈読者〉 阿部寿行 22
    「羅生門」の扉を開くために――授業を拡張する七つの鍵 小澤 純 26
    〈アンケート〉 「羅生門」は本当に面白い? 高校生アンケート   14
     
  8. 三宅義藏(2022)『羅生門」55の論点』大修館書店
    https://www.taishukan.co.jp/book/b608218.html

    本書は、下記のような興味深い55の論点を取り上げており、興味深い。

    その1 「羅城門」を「羅生門」と変えたのは、なぜか。
    その2 実在した「羅城門」は、どのような門だったか。
    その3 暮れ方から物語が始まるのは、なぜか。
    その4 「下人」とは何か。
    その5 登場人物に名前がないのはなぜか。
    その6 「雨やみを待っていた」と書いて、後で言い直したのはなぜか。
    その7 「蟋蟀」は、コオロギかキリギリスか。
    その8 「旧記によると」という解説があるのはなぜか。
    その9 「仏像や仏具を打ち砕いて~薪の料に売っていた」という記述は何のためにあるのか。
    その10 実際にはいない「鴉」の描写があるのはなぜか。
    その11 下人が座っているのが「七段ある石段の一番上の段」であるのはなぜか。
    その12 下人の着物が「紺」であることには、どのような意味があるか。
    その13 「にきび」が何度も出てくるのは、なぜか。
    その14 突然「作者」が出てくるのはなぜか。
    その15 下人が暇を出されてから「四、五日」なのはなぜか。
    その16 「Sentimentalisme」というフランス語が出てくるのはなぜか。
    その17 「雨」「夕闇」「雲」の描写は何のためにあるのか。
    その18 「どうにもならないことを」からの一段落は、どのようなことを言っているのか。
    その19 盗人になることを積極的に肯定する勇気がなかったのはなぜか。
    その20 「雨風の憂えのない、人目にかかる惧れのない」場所を求めたのはなぜか。
    その21 なぜ下人は「聖柄の太刀」を持っているのか。
    その22 「そのはしごの一番下の段へ踏みかけた」という描写には、どのような意味があるか。
    その23 下人を「一人の男」と表現したのはなぜか。
    その24 火の光を「濁った、黄色い光」と表現したのはなぜか。
    その25 「どうせただの者ではない」という表現から、下人がどのような人物であると考えられるか。
    その26 裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるのはなぜか。
    その27 「ある強い感情」とは何か。
    その28 老婆の描写の仕方にはどのような意図があるか。
    その29 「六分の恐怖と四分の好奇心」とはどのようなものか。
    その30 死体の髪の毛の抜き方が「一本ずつ」なのはなぜか。
    その31 恐怖が少しずつ消えていった後の下人の心理はどのようなものか。
    その32 老婆の行為を「許すべからざる悪」と思ったのはなぜか。
    その33 「白い鋼の色」を突きつけた、とはどういうことか。
    その34 「執拗く黙っている」のはなぜか。
    その35 「全然、自分の意志に支配されている」という表現はおかしいのではないか。
    その36 「この意識」が「憎悪の心」を「冷ましてしまった」とはどういうことか。
    その37 下人が自分のことを「旅の者」と言ったのはなぜか。
    その38 老婆が「この髪を抜いてな」を繰り返したのはなぜか。
    その39 老婆は何のためにかつらを作ろうとしているのか。
    その40 「老婆の答えが存外、平凡なのに失望した」のはなぜか。
    その41 「前の憎悪が、冷ややかな侮蔑と一緒に、心の中へ入ってきた」とはどういうことか。
    その42 老婆の台詞を現代語であらわすとどうなるか。
    その43 「今昔物語集」の「女主人」を、「蛇を魚と偽って売る女」としたのはなぜか。
    その44 老婆の言ったことを簡潔にまとめるとどうなるか。
    その45 老婆が言ったことと下人が受け取ったことは、同一か。
    その46 「大体こんな意味のこと」となっているのはなぜか。
    その47 「勇気」が生まれてきたのは、なぜか。
    その48 「あざけるような声で念を押した」のはなぜか。
    その49 にきびから手を離したことにはどのような意味があるか。
    その50 下人が盗み取ったものが、老婆の着物だけなのはなぜか。
    その51 「またたく間に急なはしごを夜の底へ駆け下りた」とはどういうことか。
    その52 下人が去った後、老婆が描かれているのはなぜか。
    その53 「黒洞々たる夜」とは、どういうことをあらわしているか。
    その54 「下人の行方は、誰も知らない」という終わり方を、どう考えるか。
    その55 「羅生門」を、現代の高校生はどのように受け止めているか。

生成AIのProduct designに関わる相反的技術選択 — 生成「精度」重視 vs 生成「速度」重視、「面白さ」(創造性)重視 vs 「信頼度」(信頼性)重視

自動車製品がそうであるように、同一technologyを利用したproductであっても、product conceptや product designが異なると、異なる特徴を持つproductとなる。このことは、生成AI「製品」にも当てはまる。OPEN AIのChatGPT、MicrosoftのBing AI、PerplexityのPerplexity AIといった生成AI製品のいづれも、ChatGPT4.0を使用しているにも関わらず、それぞれが一定の「個性」を持ち、かなり異なった「回答」を生成するのはそうした理由によるものである。

1) 生成「精度」重視 vs 生成「速度」重視
生成「精度」向上と生成「速度」向上は二律背反的であるため、「精度」重視のproduct designと、「速度」重視のproduct designという二つの技術的選択が問題となる。
 
2) 「面白さ」(創造性)重視 vs 「信頼度」(信頼性)重視
回答生成に際して、「信頼度がより高い回答を生成するのか?」、それとも、「ユーザーがより興味深いと思う回答を生成するのか?」という二つの技術的選択が問題となる。

ex.1   「persuasive」であることを重視するChatGPT3.5(アラレちゃん型)
               vs
     「truthful」であることを重視するPerplexity AI(鉄腕アトム型)
 
ex.2 「より創造的に」、「よりバランスよく」、「より厳密に」という3つのモードを持つMicrosoft Bing AI
 

テキスト生成AIの基本的構造

 
内容構成
(1) 生成AIにおけるコア技術としてのTransformer
(2) 大規模言語モデル– 非常に巨大なデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された言語モデル
(3) 大規模言語モデルを利用したテキストの自動生成
a. 連関「確率」に基づく「新結合」的なテキスト生成-真偽は別として、「もっともらしいテキスト」の作成が可能
b. 「先行著作物の直接引用および間接引用」によるテキスト生成 ― originは既存著作物。それゆえAiが自動生成したテキストにoriginality(創作性)はない。
c. 「先行著作物」利用による生成AIへのtraining ― 「多読」的な学習法。自動生成テキストの質を上げるには、「良質なテキストを、より大量に用いて訓練する」ことや、目的に応じたfine-tuning
(4) 生成データの「質」を規定している主要素
(5) 生成AIの「回答」のOriginality,Creativity/Innovativity問題- 生成AIの基本的構造の理解に基づく対応
 
下記は冒頭ページの画像です。画像をクリックすると、PDFをダウンロードできます。

Alice’s Adventures in Wonderland – Google Text-to-Speechを利用した英語読み上げ

Google Text-to-Speechを利用したAlice’s Adventures in WonderlandのCHAPTER I Down the Rabbit-Holeの下記冒頭部の読み上げファイル
CHAPTER One
Down the Rabbit-Hole

Alice was beginning to get very tired of sitting by her sister on the bank, and of having nothing to do: once or twice she had peeped into the book her sister was reading, but it had no pictures or conversations in it, “and what is the use of a book,” thought Alice “without pictures or conversations?”
So she was considering in her own mind (as well as she could, for the hot day made her feel very sleepy and stupid), whether the pleasure of making a daisy-chain would be worth the trouble of getting up and picking the daisies, when suddenly a White Rabbit with pink eyes ran close by her.
There was nothing so very remarkable in that; nor did Alice think it so very much out of the way to hear the Rabbit say to itself, “Oh dear! Oh dear! I shall be late!” (when she thought it over afterwards, it occurred to her that she ought to have wondered at this, but at the time it all seemed quite natural); but when the Rabbit actually took a watch out of its waistcoat-pocket, and looked at it, and then hurried on, Alice started to her feet, for it flashed across her mind that she had never before seen a rabbit with either a waistcoat-pocket, or a watch to take out of it, and burning with curiosity, she ran across the field after it, and fortunately was just in time to see it pop down a large rabbit-hole under the hedge.
In another moment down went Alice after it, never once considering how in the world she was to get out again.
The rabbit-hole went straight on like a tunnel for some way, and then dipped suddenly down, so suddenly that Alice had not a moment to think about stopping herself before she found herself falling down a very deep well.
Either the well was very deep, or she fell very slowly, for she had plenty of time as she went down to look about her and to wonder what was going to happen next. First, she tried to look down and make out what she was coming to, but it was too dark to see anything; then she looked at the sides of the well, and noticed that they were filled with cupboards and book-shelves; here and there she saw maps and pictures hung upon pegs. She took down a jar from one of the shelves as she passed; it was labelled “ORANGE MARMALADE”, but to her great disappointment it was empty: she did not like to drop the jar for fear of killing somebody underneath, so managed to put it into one of the cupboards as she fell past it.
https://www.gutenberg.org/cache/epub/11/pg11-images.html

【注】下記音声ファイル名の後に、★が付いているものが個人的にはおすすめの読み上げファイルである。
 
イギリス英語
アメリカ英語
Alice-01-en-US-Wavenet-A(male)

Alice-01-en-US-Wavenet-B(male)

Alice-01-en-US-Wavenet-C(female)

Alice-01-en-US-Wavenet-D(male)

Alice-01-en-US-Wavenet-E(female)

Alice-01-en-US-Wavenet-F(female)

Alice-01-en-US-Wavenet-G(female)

Alice-01-en-US-Wavenet-H(female)

Alice-01-en-US-Wavenet-I(male)

Alice-01-en-US-Wavenet-J(male)

Alice-01-en-US-Neural2-A(male)

Alice-01-en-US-Neural2-C(female)

Alice-01-en-US-Neural2-D(male)

Alice-01-en-US-Neural2-E(female)★

Alice-01-en-US-Neural2-E(female) Speed 85%★

Alice-01-en-US-Neural2-G(female)

Alice-01-en-US-Neural2-G(female) Speed 85%

Alice-01-en-US-Neural2-H(female)

Alice-01-en-US-Neural2-H(female) 85%

Alice-01-en-US-Neural2-I(male)

 
作業メモ

生成AIを利用した「日本語テキストの英語化」(その1)


生成AIを利用した「日本語テキストの英語化」に関して、明治大学経営学部「デジタル経営人材開発トラック (DIGIT: Digital Insights for Growth and Innovation Track)」(https://www.meiji.ac.jp/keiei/features/digit.html)の冒頭部分の日本語テキストを例にとり、具体的に説明する。
なお回答例は下記の通りである。

AIによる回答例
 

ここでは下記のような2段階で英語テキスト化をおこなうことで、より適切な英語テキストを生成することを追究している。(なお、英語テキスト化の前に、日本語テキストそれ自体に関して、生成系AIにチェックをさせた方がより良い結果を得ることができると思われる。)

  1. DeepL翻訳(https://www.deepl.com/ja/translator)を利用して、日本語テキストの英訳をさせる。
  2. DeepL翻訳(https://www.deepl.com/ja/translator)による英訳文章に関して、生成系AIにチェックさせる。
生成AIに与えたプロンプト文
下記の日本語原文の英語訳に関して、文法や読みやすさなどの文章チェックをし、訂正箇所および詳しい訂正理由を教えてください。

#日本語原文
2019年に発表された政府の「AI戦略2019」において、「文理を問わず、全ての大学・高専生が、課程にて初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得すること」が目標として掲げられ、デジタル人材の育成があらゆる分野において求められています。
経営学部では、「デジタル経営人材開発トラック:DIGIT(Digital Insights for Growth and Innovation Track)」を設置し、データサイエンス・数理統計・AI等のデジタル技術を利用・活用してビジネスデータ・ソーシャルデータの分析からインサイトを探索し、新たな社会の在り方やプロセス改革・新製品サービス開発・事業創造等のイノベーションを創造できる「デジタル経営人材」(経営学部が掲げる「価値創造人材」の一類型)を育成します。

#英語訳
The government’s AI Strategy 2019, announced in 2019, sets the goal that all university and technical college students, regardless of their background, should master elementary level mathematics, data science and AI in their courses, and the development of digital human resources is required in all fields.
The Faculty of Business Administration has established the Digital Management Human Resource Development Track: DIGIT (Digital Insights for Growth and Innovation Track), where students can use and utilise digital technologies such as data science, mathematical statistics and AI to analyse business data and social data to search for insights and develop new ones. The DIGIT track will develop ‘digital management human resources’ (a type of ‘value-creating human resources’ as set out by the Faculty of Business Administration) who can search for insights from business data and social data and create innovations such as new ways of being in society, process reform, new product and service development, and business creation.

 
生成系AIによる回答
下記では、ChatGPT4(有料版)、Microsoft Bing AIperplexity AI(有料版)、Google Bardという3種類の生成系AIの回答を紹介しています。それぞれ回答が異なっていますが、各生成系AIによる訂正理由等を見ながら、最終的に自分で最も適切と思われる英語テキストを作成することがこれからの時代に求められているように思われます。
 
 

Your translation is mostly accurate, but I would suggest a few changes to improve clarity, flow, and coherence. Here’s a revised version of your translation along with explanations for each change:

 

Revised Translation: The government’s “AI Strategy 2019,” announced in 2019, set forth the goal that all university and technical college students, regardless of their major, should acquire foundational knowledge in mathematics, data science, and AI within their curriculum. Consequently, there’s an increasing demand for the cultivation of digital talent across all sectors. The Faculty of Business Administration has established the “Digital Management Human Resource Development Track: DIGIT (Digital Insights for Growth and Innovation Track).” Through this track, students will harness digital technologies, such as data science, mathematical statistics, and AI, to analyze business and social data, derive insights, and innovate. This will culminate in the development of ‘digital management talent,’ a subset of the ‘value-creating talent’ that the Faculty of Business Administration aims to nurture, equipped to drive innovations in societal structures, process reforms, new product and service development, and entrepreneurial ventures.

 

Explanations:

  1. regardless of their major: Replaced “background” with “major” since “文理” in the original refers to humanities/sciences, suggesting the academic focus.
  2. acquire foundational knowledge: A slight rephrase to make the statement clearer and more fluid.
  3. cultivation of digital talent across all sectors: Reorganized the sentence for clarity.
  4. Through this track: Added for clarity and to make the flow smoother.
  5. harness digital technologies: Changed “use and utilise” to “harness” to avoid redundancy and make the expression more concise.
  6. derive insights, and innovate: Simplified and streamlined the structure for improved flow.
  7. culminate in the development of: Introduced to clarify the end goal of the track and to streamline the sentence structure.
  8. drive innovations in: Altered phrasing for better clarity and flow.
 

Overall, these changes aim to enhance clarity, reduce redundancy, and improve the coherence of the translation.

 

2. Microsoft Bing AIによる回答

こんにちは、こちらはBingです。英語の文章チェックをお手伝いします。😊

#英語訳(訂正版) The government’s AI Strategy 2019, announced in 2019, sets the goal of having all university and technical college students, regardless of their field of study, acquire elementary level skills in mathematics, data science and AI through their courses. The strategy also calls for the development of digital human resources in all fields. The Faculty of Business Administration has established a new track called DIGIT (Digital Insights for Growth and Innovation Track), which aims to develop ‘digital management human resources’ (a subtype of ‘value-creating human resources’ as defined by the faculty) who can use and apply digital technologies such as data science, mathematical statistics and AI to analyse business and social data, discover insights, and create innovations in various domains such as social transformation, process improvement, new product and service development, and business creation.

 

#訂正箇所と理由

  1. of havingという前置詞句を使いました。thatという関係代名詞は、主節と従属節の間に距離があるときに使われることが多く、文章の流れを妨げる可能性があります。
  2. field of studyという単語を使いました。backgroundという単語は、学問だけでなく、出身地や家族なども含む可能性があります。
  3. skillsという単語を使いました。masterという動詞は、高度な能力を示すことが多く、初級レベルの習得とは矛盾する可能性があります。
  4. through their coursesという句を文末に移動しました。文頭に置くと、主語や目的語との関係が不明確になる可能性があります。
  5. The strategy also calls forという表現を使いました。andという接続詞は、前後の文が同じ主語や目的語を持つ場合に使われることが多く、別の話題に移る場合には不適切な場合があります。
  6. a new track called DIGITという表現を使いました。DIGITが新しいプログラムであることを強調するためです。
  7. which aims to developという関係代名詞句を使いました。DIGITの目的を明確にするためです。
  8. a subtype ofという単語を使いました。a type ofという単語は、種類や分類の意味で使われることが多く、階層的な関係を示す場合には不適切な場合があります。
  9. as defined by the facultyという句を追加しました。経営学部が定義した用語であることを示すためです。
  10. use and applyという動詞を使いました。use and utiliseという表現は、同じ意味の単語を繰り返しているように読める可能性があります。
  11. business and social dataという表現を使いました。business data and social dataという表現は、データの種類が多くなるほど読みにくくなる可能性があります。
  12. discover insightsという表現を使いました。search for insightsという表現は、探索の過程であることを示す場合に使われることが多く、結果や成果を示す場合には不適切な場合があります。
  13. in various domains such as …という句を追加しました。イノベーションの対象領域を具体的に示すためです。

以上の訂正は、文法や読みやすさなどの観点から提案したものです。最終的な判断は、ご自身でなさってください。ご参考になれば幸いです。🙏

3.perplexity AI(有料版; GPT4)による回答
The English translation of the Japanese text is generally accurate, but there are a few areas where it could be improved for clarity, readability, and grammatical correctness. Here are the suggested corrections:

  1. Original: The government’s AI Strategy 2019, announced in 2019, sets the goal that all university and technical college students, regardless of their background, should master elementary level mathematics, data science and AI in their courses, and the development of digital human resources is required in all fields.
     

    Suggested Correction: Announced in 2019, the government’s AI Strategy 2019 sets a goal for all university and technical college students, irrespective of their field of study, to master elementary level mathematics, data science, and AI in their courses. It underscores the need for the development of digital human resources across all fields.

     

    Reason: The phrase “regardless of their background” could be misinterpreted as referring to the students’ personal or cultural background. The term “irrespective of their field of study” is more precise. The sentence structure has also been revised for better readability.

     
     
  2. Original: The Faculty of Business Administration has established the Digital Management Human Resource Development Track: DIGIT (Digital Insights for Growth and Innovation Track), where students can use and utilise digital technologies such as data science, mathematical statistics and AI to analyse business data and social data to search for insights and develop new ones.
     

    Suggested Correction: The Faculty of Business Administration has established the ‘Digital Management Human Resource Development Track: DIGIT’ (Digital Insights for Growth and Innovation Track). This program enables students to leverage digital technologies, such as data science, mathematical statistics, and AI, to analyse business and social data, derive insights, and foster innovation.

     

    Reason: The phrase “use and utilise” is redundant. The term “leverage” is more appropriate in this context. The sentence structure has been revised for better readability.

     
     
  3. Original: The DIGIT track will develop ‘digital management human resources’ (a type of ‘value-creating human resources’ as set out by the Faculty of Business Administration) who can search for insights from business data and social data and create innovations such as new ways of being in society, process reform, new product and service development, and business creation.
     

    Suggested Correction: The DIGIT track aims to cultivate ‘digital management human resources’—a category of ‘value-creating human resources’ as defined by the Faculty of Business Administration. These individuals will be capable of extracting insights from business and social data and driving innovations, including societal transformation, process reform, new product and service development, and business creation.

     

    Reason: The term “develop” is vague in this context. The term “cultivate” is more specific and appropriate. The sentence structure has been revised for better readability and clarity.

 
 

4.Google Bardによる回答

日本語原文と英語訳を比較した結果、以下の訂正箇所と詳しい訂正理由が考えられます。

訂正後の英語訳
訂正箇所 訂正理由
2019年に発表された政府の「AI戦略2019」において、「文理を問わず、全ての大学・高専生が、課程にて初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得すること」が目標として掲げられ、デジタル人材の育成があらゆる分野において求められています。 「文理を問わず」を「文系・理系を問わず」に修正。
経営学部では、「デジタル経営人材開発トラック:DIGIT(Digital Insights for Growth and Innovation Track)」を設置し、データサイエンス・数理統計・AI等のデジタル技術を利用・活用してビジネスデータ・ソーシャルデータの分析からインサイトを探索し、新たな社会の在り方やプロセス改革・新製品サービス開発・事業創造等のイノベーションを創造できる「デジタル経営人材」(経営学部が掲げる「価値創造人材」の一類型)を育成します。 「数理統計」を「統計学」に修正。
訂正理由
The government’s AI Strategy 2019, announced in 2019, sets the goal that all university and technical college students, regardless of their background, should master elementary level mathematics, data science and AI in their courses, and the development of digital human resources is required in all fields. 「文系・理系を問わず」を「regardless of their background」に修正。
The Faculty of Business Administration has established the Digital Management Human Resource Development Track: DIGIT (Digital Insights for Growth and Innovation Track), where students can use and utilise digital technologies such as data science, mathematical statistics and AI to analyse business data and social data to search for insights and develop new ones. The DIGIT track will develop ‘digital management human resources’ (a type of ‘value-creating human resources’ as set out by the Faculty of Business Administration) who can search for insights from business data and social data and create innovations such as new ways of being in society, process reform, new product and service development, and business creation. 「数理統計」を「statistics」に修正。
 

その他の修正

  1. 日本語原文の「新たな社会の在り方」は、英語では「new ways of being in society」と訳すのが自然です。
  2. 日本語原文の「プロセス改革」は、英語では「process reform」と訳すのが自然です。
  3. 日本語原文の「新製品サービス開発」は、英語では「new product and service development」と訳すのが自然です。
  4. 日本語原文の「事業創造」は、英語では「business creation」と訳すのが自然です。
 

これらの修正を行った上で、訂正後の英語訳は以下のようになります。

 

訂正後の英語訳

The government’s AI Strategy 2019, announced in 2019, sets the goal that all university and technical college students, regardless of their background, should master elementary level mathematics, data science and AI in their courses. The development of digital human resources is required in all fields.

The Faculty of Business Administration has established the Digital Management Human Resource Development Track: DIGIT (Digital Insights for Growth and Innovation Track), where students can use and utilise digital technologies such as data science, statistics and AI to analyse business data and social data to search for insights and develop new ones. The DIGIT track will develop ‘digital management human resources’ (a type of ‘value-creating human resources’ as set out by the Faculty of Business Administration) who can search for insights from business data and social data and create innovations such as new ways of being in society, process reform, new product and service development, and business creation.

この訂正後の英語訳は、文法や読みやすさなどの点で改善されていると考えられます。

なお、上記の修正はあくまでも一例であり、他の修正も考えられます。

 

4.Google Geminiによる回答

英語訳の文法・読みやすさチェック
 
文法
重複表現:“data science and AI” という表現が2回連続で出現しています。2回目は “AI” のみで十分です。
前置詞:“search for insights” の後に “from” が必要です。
句読点:文末に句読点が必要です。
 
読みやすさ
文の長さ:最後の文が非常に長いため、2つに分けた方が読みやすくなります。
単語の選択:“social data” の代わりに “social media data” を使用すると、より現代的な表現になります。
専門用語:“DIGIT” は頭字語ですが、初めて見る人にとってはわかりにくいため、最初の出現時に説明を追加する必要があります。
 
 
修正案
The government’s AI Strategy 2019, announced in 2019, sets the goal that all university and technical college students, regardless of their background, should master elementary level mathematics, data science, and AI in their courses. The development of digital human resources is required in all fields.

The Faculty of Business Administration has established the Digital Management Human Resource Development Track: DIGIT (Digital Insights for Growth and Innovation Track). In this track, students learn to use and apply digital technologies such as data science, mathematical statistics, and AI to analyze business and social media data to gain insights. They then use these insights to develop innovations such as new ways of being in society, process reform, new product and service development, and business creation. These “digital management human resources” (a type of “value-creating human resources” as defined by the Faculty of Business Administration) are in high demand across all industries.

 
変更点
“data science and AI” を “data science, and AI” に修正
“search for insights” を “search for insights from” に修正
最後の文を2つに分けて、句読点を追加
“social data” を “social media data” に修正
“DIGIT” の最初の出現時に説明を追加
 
その他の提案
ターゲットオーディエンスに合わせて、専門用語の使用を調整する必要があります。
日本語の原文と英語訳のニュアンスが一致していることを確認する必要があります。
 

ご参考になれば幸いです。

旧バージョン:https://sanosemi.info/archives/5200